先日,あの有名な県知事さんがいる宮崎県で,牛の口蹄疫が発生しました.
お隣の国,韓国でも現在口蹄疫が流行し始めているそうです.
ところで,みなさん,口蹄疫って病気,聞いたことがあります??
おそらくほとんどの方は知らないでしょうねぇ.
私も獣医師でなければ,絶対に知らなかったと思います.
それに,私がまだうる若き?獣医学部生だった20うん年前には,口蹄疫はわが国では明治時代に発生したのを最後に,もう90年近く発生がない過去の病気です…なんて教わりました.
でもどうでしょう,今や口蹄疫は日本,韓国,台湾,中国でも大きな問題になりつつあります.
この口蹄疫という病気,牛さんや豚さんや羊,山羊さんなどの蹄(ひづめ)が2つある偶蹄類に感染するウイルス病で,致死的ではないのですが感染力がめっぽう強い病気です.
しかも,この病気が発生するとそこの畜産物の出荷がストップとなり,病気を起こした牛や豚などは全て殺処分されます.
この強制力は,家畜伝染病予防法という法律に基づいています.
すぐに殺処分なんて本当に気の毒ですが,我が国の畜産業全体のことを考えればやむを得ないことです.
さて,これからが本題です.
でも,この口蹄疫の発生.何となく対岸の火事というか,自分たちにはあまり関係のない出来事だよなぁ…って感じていません?
確かに口蹄疫は人間には感染しませんし,家畜伝染病予防法って言ったて,人間には関係ないし~…みたいな.
それでは,これが口蹄疫ではなくて,もしも,狂犬病だったらどうでしょうか?
上に書いたとおり,口蹄疫は90年近く日本では発生しませんでした.
90年ですよー!,普通90年も経っていれば,こんな病気は日本とは無関係の病気だよね~って思っても不思議じゃないですよね.
でも実は,そんなに長い間発生しなかったのは,家畜伝染病に対する真剣な取り組みを国を挙げて一生懸命行ってきたからなのです.
だから,不幸にして発生してしまった現在も,現場の自治体の方々や保健所の方々,畜産農家の方々が一致協力して何とか蔓延を食い止めるべく懸命の努力をしているのです.
さてさて,もし,狂犬病だったら???
狂犬病は人間,犬はもちろんのこと,全ての哺乳類に感染する最も怖ろしいウイルス感染症と言っても過言ではないでしょう.
だから,家畜伝染病でもありますが,狂犬病に関しては狂犬病予防法という法律もあります.
日本では1956年以降,もう50年以上も発生していません.
しかし,狂犬病も口蹄疫と同様に,国を挙げて様々な取り組みを行ってきた結果,日本は世界でも極めて稀な清浄国になったのです.(ちなみに狂犬病は人以外が発病した場合は口蹄疫と同様に治療対象にならず全て殺処分になります)
ところが,ここ数年の狂犬病予防注射接種率の低下により,今,我が国で狂犬病が発生した場合,恐らく蔓延を防止することはできないのではないかとも言われています.
怖ろしいことですよね.
昨年は,全世界で55000人の方が狂犬病で亡くなりました.
実に10分に1人の割合で,狂犬病により人が亡くなっている計算になります.
狂犬病も決して対岸の火事ではありません.
大切なかけがえのないワンちゃんたちのためにも,狂犬病予防接種を受けましょうね.
今日のブログは,ちょっと現実的な真面目なブログになってしまいました.
でも,ブログだからこそ,この厳しい現実もベールにくるんだりせずに知っていただくことが重要であると思います.
次回は,また,明るい爽快な話題を提供したいと思いますね.こうご期待を!
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