今日は,狂犬病について少し話したいと思います.
みなさんは,狂犬病というとどんなことを想像されるでしょうか?
「よだれを流して吠えまくる犬?」,「誰それかまわず咬みつこうとして吠えている犬?」,色々と想像されると思います.
そうなんです.この病気は獣医師である私も含めて日本人であれば,ほぼ100%の方々が想像するしかない病気なのです.
なので,下の写真のとおり,「狂犬病」というとこのような古~い写真を引用するしかありません.
白黒写真といい,この写真の背景といい,いかにも教材などに使われるような写真ですよね.
わが国は,世界的にも希有な狂犬病清浄国で,他にはイギリスやオーストラリア,ニュージーランド,台湾などの島国が清浄国としてあげられます.
日本では,昭和31年(1956年)以降,もう半世紀以上,ヒト,犬ともに狂犬病の発生はなく,狂犬病そのものに対する国民の関心も薄れてきてしまいました.
だから,一般的に国民の皆様は,「狂犬病なんて知らないし,別に怖くないな~」っていうのが本当の印象ではないでしょうか.
狂犬病が恐ろしい病気だということは知っていても,実際に発生していないし,ましてや見たこともないのだからリアリティがないですよね.無理もないことだと思います.
しかし,みなさん,最近アメリカのニューヨークでこんなことが起きています.
それは,ニューヨークのマンハッタン地区で,狂犬病に感染したアライグマが,今年に入りセントラルパークで相次いで確認され,人が咬まれる被害も発生しました.
狂犬病の感染が確認されたアライグマは,現在で40匹にも上るそうです.
セントラルパークは年間約2500万人が訪れるという超超有名なニューヨークの観光スポットです.そんな大都会のど真ん中で狂犬病の恐怖が忍び寄って来ているという事実を我々は対岸の火事と簡単にあしらってはいけません.
同じような恐ろしい出来事が,もしかしたら東京でも起こるかもしれないのです.
日本は国を挙げて狂犬病撲滅に邁進しました.
狂犬病予防注射の徹底や狂犬病予防法の制定などにより,現在の狂犬病清浄国を確立したのです.
狂犬病は,犬だけの病気ではなく,ヒト,犬を含めた全ての哺乳類に感染する怖い病気です.
恐らく,これほど広い種に感染することのできるウイルス疾患は他にないのでは?と思います.
近年,狂犬病予防注射接種率の低下が問題となっています.
もし,今,日本で狂犬病が発生したら,はたしてその流行を食い止められるだろうか?というギリギリのラインが現在です.
もうすぐ狂犬病予防の季節になります.
このまま,狂犬病清浄国であり続けるためにしっかりと予防しましょう!!
(狂犬病に関することは,また,シリーズ的にブログしま~す!)
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