2011年6月12日日曜日

犬にも脚気はあるのか?

みなさんはテレビドラマ「JIN~仁~」を見ていますか?これはドラマの中で南方仁先生が脚気治療のために開発したあんドーナッツです.
皆さん食べました?ちなみに私は美味しくいただきました☆
脚気とはビタミンB1不足で生じる末梢神経障害,心不全を起こす病気で,江戸時代には
多くの大名や将軍がこの病気で命を落としています.
有名どころでは,13代将軍徳川家定とか皇女和宮は脚気が悪化して死亡したと言われています.

この病気は犬にもあるのでしょうか?
答えは「ある:起こりえる」となります.
犬に関してお話しする前に,脚気という病気の原因についてもう少し書いておきたいと思います.
脚気はお米を精製して白米にして食べるようになった江戸時代から急激に増えた病気です.
なので別名「江戸患い」といわれます.また白米を食べられたのは上流階級の人達だけでしたから「ぜいたく病」とも言われます.
精製する前の玄米にはビタミンB1が多く含まれています.
その他には肉類や牛乳に多く含まれているのですが,当時の日本人はそれらを食べる習慣がありませんでしたので身体に必要な量の大半を玄米から得ていたのです.それが上流階級の人達は精製した白米ばかりを食べていたので,身体は慢性的なビタミンB1欠乏になったのです.

当時の漢方医達はそば粉を食べると脚気が治るということを経験的に感じていたのですが,
ある種の細菌が原因で起こるという説が当時は世界的に有力だったので,残念ながら治療法として広がることはありませんでした.

そして明治時代に入って脚気の原因は食事の質(内容)が原因ではないかと考える人が現れ,犬を使って実験をしました.

その人は何頭かの犬を2つのグループに分け,片方にはタンパク質を極端に減らし多くの炭水化物を与え(タンパク質:炭水化物=1:8~9),もう一方にはバランスの良い食事(1:4)を与え約1年間の健康状態を観察しました.バランスの悪い食事というのは,脚気を起こした人達の食事をもとに割合を決めた食事ということで「脚気食」とします.すると脚気食を与えられたグループの犬は,嘔吐や脱毛に始まり貧血,後肢麻痺,起立不能などの症状をおこして亡くなってしまいました.それに対して非脚気食を与えられた犬たちは実験終了まで体重の増減程度で皆元気でした.

この結果からも脚気は食事中のタンパク質量と関係していると考えられてのですが,亡くなった犬たちの症状が人の脚気と全く一致しているというわけでなかったことから,この結果は公表されることなく,治療に生かされることもなかったのです.(なんともったいない・・・・・)

このように犬達もバランスの悪い食事を続けていると脚気を患うことがありますし,
命を落とすこともあります.
現在は脚気ではなく「多発性神経炎」と診断されることが多いです.

現在多くのワンちゃん達は,ビタミンも含めて調整されているドッグフードを食べているので基本的には脚気を患うことはありません.
注意するとすれば,ホームメイド食を与えている方々はタンパク質と炭水化物の割合についてちょっと注意を払ってもらえたらと思います.
ホームメイド食を否定はしません.現にドッグフードが身体に合わない子もいます.しかし,全ての栄養素を含めて完璧なホームメード食は作れませんので,定期的に病院で健康状態の確認をすることをお勧めします.

0 件のコメント:

コメントを投稿